
東日本大震災後に双葉地方8町村の交流の場として2013年から開催されてきた「ふたばワールド」。
20年、21年と新型コロナウイルスの感染拡大防止のため開催が見送られてきましたが、去る9月23日に一部避難指示が解除された双葉町の双葉町産業交流センター特設会場で3年ぶりに開催されました。
「ふたば郷土芸能ステージ」で双葉地方各地の郷土芸能とともに双葉町の民俗芸能である「三字の神楽」と「前沢の女宝財踊」が披露されました。
避難から11年と半年ぶりでの地元での披露ということで出演された皆さんはもとより観客の皆さんも“久しぶりの再会”を喜んでいました。
※各芸能の解説は、【 出演団体紹介 】をご覧ください
東日本大震災後の2012年に開催された「地域伝統芸能全国大会・福島大会(ふるさとの祭り2012)」を機に福島県内の地域民俗芸能の継承を目的として毎年実施されてきた「ふるさとの祭り」。
20年、21年と新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一堂に会しての開催が見送られてきましたが、去る10月8日と9日の2日間にわたり、去年の3月にグランドオープンした「道の駅なみえ」を会場に開催されました。
8日は民俗芸能5団体と南相馬地区を中心に活動している子供たちの音楽芸能団体2団体が、9日は県内各地の民俗芸能9団体が出演。芸能体験コーナーでは神楽の獅子頭に頭を噛んでもらって無病息災を祈願する子どもたちや記念撮影する人の姿も。久しぶりに再会する懐かしい顔や芸能団体どうしの会話も弾む2日間でした。
ほとんどの団体が「このような発表の場があることで、ふるさとの民俗芸能の灯を絶やさずに頑張ろうとする励みになっているんです。」と今後も芸能披露の機会の増加を希望していました。そしてなによりも避難指示が解除され復興が叶った地元で以前のように披露したいと願っていました。
当日の芸能披露の様子は動画編集され、来年2月頃にホームページで公開される予定です。
※各芸能の解説は、【 出演団体紹介 】をご覧ください
浪江町浪江町川添芸能保存会
三春町樋渡の三匹獅子舞保存会
会津坂下町 福島県立会津農林高等学校 早乙女踊り保存クラブ
新地町福田十二神楽保存会
南相馬市下町子供手踊り保存会
南相馬市
南相馬市
飯館村大倉民俗芸能保存会
浪江町室原郷土芸能保存会
双葉町前沢の女宝財踊り保存会
南相馬市馬場民俗芸能保存会
浪江町樋渡・牛渡田植踊り保存会
浪江町請戸芸能保存会
浪江町南津島郷土芸術保存会
飯舘村小宮民俗芸能保存会
柳津町藤の和芸能保存会
双葉町三字芸能保存会
三字とは三つの集落が集まってできた地名の意味。
神楽は本来、豊作を祈って奉納されるものであるが、日照りや飢饉が多かった相馬・双葉地方には多くの神楽が残されている。
三字の神楽は明治ごろに伝来したと言われ、相馬地方でも典型的な神楽である。
東日本大震災で獅子頭を失くしたが、その後新調することができ、本格的に活動を再開している。
双葉町前沢の女宝財踊り保存会
この芸能には、ばくち打ち・僧侶・お子抱き・盲目の琵琶法師・旅芸人などの踊り手が登場する。
これは今から680年ほど前の南北朝の乱で、霊山の城から逃れた北畠氏の家臣12人が旅芸人などに変装して南相馬市鹿島区の江垂に落ち延びた故事をのちに踊りにしたものである。
当団体の踊り手はすべて女性であることが珍しい。相馬・双葉地方にだけ伝わる、県内では珍しい練り
11:10
浪江町浪江町川添芸能保存会
明治40年ごろ、当時の標葉郡川添村に伝わったとされている。毎年正月に悪魔祓いや豊年満作の祈願をしながら舞い込む獅子神楽で、川添地区の住民に受け継がれてきた。東日本大震災と原発事故により全町民が避難となり活動が一時途絶えたが、震災から約4年後の平成27年に5名の仲間が活動を再開し、県内各地にある町民の避難先の仮設住宅を巡って神楽を披露するなど、郷土の民俗芸能を風化から守ってきた。
震災後11年も放置されて朽ち果てていた川添の國玉神社がこのほど再建され、今年の7月に例大祭で遷宮祭が執り行われ、12年ぶりに神社に奉納した。最後の種目の「乱獅子」はことに威勢がいい。
11:40
三春町樋渡の三匹獅子舞保存会
樋渡神社の祭礼に奉納されてきた三匹獅子舞である。かつては春と秋の2回であったが、明治30年ころから秋祭りだけになった。震災時もコロナ禍でも「無病息災」を祈願し、この獅子舞を奉納した。
毎年、地元小学校の道徳授業にも参加しており、令和3年には7年ぶりに小学生が踊り手に加わるなど、話題になった。樋渡地区は15戸しかない小さな集落だが、若連9人で伝統を継承している。
獅子頭は張り子で、3頭ともに牙があるのは珍しい。種目は雌獅子を二人の雄獅子が奪い合う勇壮な「かけ合い」を中心に17種があり、これは県内でも多い。
伝来した時期は明らかでないが、獅子の太鼓に宝暦2年(1752)の墨書があり、少なくともこれ以前であることは確かで、これは中通り地方の獅子舞の中では古い方に属する。阿武隈山地には子どもによる多くの三匹獅子舞が伝えられていて、「荒獅子」といわれるように力強く舞うところが多いが、これもその一つである。
12:20
平成21年6月結成。南相馬の古い酒蔵を復元した銘醸館を拠点に活動中。東日本大震災、福島第一原発事故の影響でメンバーがバラバラになる中、自主練習を続け、『2011こどもコーラスフェスティバル』に出場。以来、被災地からの感謝と元気を届ける活動を続けている。被災地に未来の夢を与えてくれる子供たちのアンサンブルの歌声が響く。
MJCアンサンブル HP https://mjcensemble.web.fc2.com
12:50
東日本大震災を機に誕生したトモプロは、歌やダンスを通じて人と人が繋がり合い、生きてゆく元気を伝え合うプロジェクト。毎週のレッスンに加えて、イベントステージや本公演、音楽や動画の配信など、様々な形でみんなを笑顔にできるような活動をしている。
中心にあるのは「みんなのうた」。どんなに辛くても悲しくても、顔をあげて歌を歌って前に進んできたトモプロが、くじけない復興へ勇気を皆さんにプレゼント。
トモダチプロジェクト HP https://www.tomopro37nouta.com
13:20
会津坂下町
福島県立会津農林高等学校
早乙女踊り保存クラブ
早乙女踊りは「羽子板舞」「棒舞」「花笠舞」「扇舞」の4種目で構成され、毎年7月7日の栗村稲荷神社の「御田植祭」に五穀豊穣と商売繁盛を祈願して、町内の5か所で披露されている。
花笠舞は当地だけが伝えている種目で、戦後途絶えていた「扇舞」は令和元年7月7日に戦前に踊り手だった方の助言で復活させた。同年7月末の「第43回全国高等学校総合文化祭佐賀大会」の「郷土芸能部門」に福島県代表として参加し、今年8月13日には息吹 越谷公演に出演した。
「早乙女踊り保存クラブ」は今年で15年目を迎え、町の伝統文化継承のために活動している。
13:40
新地町福田十二神楽保存会
この神楽の特色は、舞も囃子もすべて子どもが演じるところにある。幕末の慶応元年ごろに宮城県の丸森町から伝えられた。丸森では大人が演じていたが、福田では少年たちに伝授した。
この神楽は修験の芸能の面影を残す、県内でも類の少ない神楽であり、平成6年に県の重要無形民俗文化財に指定された。社会情勢の変化や少子化などを背景に、令和元年以後一時活動が途絶えていたが、今年から新地町立福田小学校の子どもたちが新たに取り組み始めた。
震災の翌年、NHKホールで開催された「第12回地域伝統芸能まつり」に出演したほか、各地の民俗芸能の大会に出演している。
14:10
南相馬市下町子供手踊り保存会
鹿島御子神社や男山八幡神社などで12年ごとに行われる「お浜下り」に奉納する踊りとして伝承されてきた。曲目は「二遍返し」「相馬流れ山」などの相馬地方の民謡のほか、「伊勢音頭」や「おばこ」「あいや節」「八木節」など全国各地の民謡もある。
平成26年の「ふるさとの祭り福島大会」(四季の里)に出演したほか、最近では地域のイベントや老人福祉施設の慰問、仮設住宅等での披露など、活動の幅を広げている。今日の日本舞踊には見られない珍しい「振り」があり、踊り手が子どもながら極めて価値の高い芸能である。
10:10
飯館村大倉民俗芸能保存会
これは相馬藩で継承されてきた獅子神楽で、珍しい「太刀のみ」もある。かつては田植踊とともに悪魔祓いと豊作を祈願して行なわれていたが、各集落の若者の団結や郷土愛、さらには絆を高めて藩の基盤を強固にするためもあって、その思いは現代まで受け継がれている。
震災後、相馬市内に飯館村の仮設住宅があった時には、住民の方々を励ますために、神楽や田植踊・狐舞を披露した。また、「ふるさとの祭り2013いわき大会」に参加したが、当日は台風の直撃を受け披露できず涙を飲んだ。補助事業で衣装などを新調し、「はやま湖まつり花火大会」では最初の祓いを務め、また近隣の集落の遷宮にも奉納している。
10:45
浪江町室原郷土芸能保存会
伝来したのは飢饉が収まった天明7年(1787年)から20か30年後とされている。この地方はヤマセでたびたび凶作に見舞われたことから、春は豊作を祈願して、秋は収穫の感謝のために神社などに奉納されてきた。四方固めに舞う「幕舞」、幣束を持つ「幣束舞」、鈴と幣束を持つ「鈴舞」、それに続き激しく舞う「怒り」の4種目で構成されている。
震災前は旧郷社である八竜神社や秋葉神社の7年ごとの遷宮祭のほか、正月の村祈祷、両神社の秋の例大祭でも奉納していた。2012年に開催された「ふるさとの祭り2012郡山大会」で震災後の活動を再開し、その後は毎年のように「十日市」や県内外の催しにも参加している。来春の遷宮祭の復活に向けて練習しているが、なんとか後継者を確保していきたい。田植踊の伝播と変遷を知る上で、貴著な踊である。
11:15
双葉町前沢の女宝財踊り保存会
この芸能には、ばくち打ち・僧侶・お子抱き・盲目の琵琶法師・旅芸人などの踊り手が登場する。これは今から680年ほど前の南北朝の乱で、霊山の城から逃れた北畠氏の家臣12人が旅芸人などに変装して南相馬市鹿島区の江垂に落ち延びた故事をのちに踊りにしたものである。当団体の踊り手はすべて女性であることが珍しい。
「ふるさとの祭り」へは2012年より都合がつく限り参加してきた。最近は新型コロナ流行のためにほとんどの催しが中止されたなか、9月に町内で開催された「ふたばワールド2022」に「三字の神楽」とともに出演した。相馬・双葉地方にだけ伝わる、県内では珍しい練り
11:40
南相馬市馬場民俗芸能保存会
獅子神楽に附属した七芸(余芸)で、笠(菅笠)踊りと傘(唐傘)踊りの2つがあり、群馬・栃木両県の民謡「八木節」に合わせて踊る。馬場地区では昭和30年代初めから踊り始めたと伝えられている。「笠踊り」は他地区にもあるが、「唐傘踊り」は県内では数少ない。平成28年の「第10回南相馬市民俗芸能発表会」で披露して以来活動を休止していたが、今回の出演を機に唄・笛・太鼓の三役を若手に替え、伝統を絶やさずにさらに発展させようと練習を開始した。メンバーが新体制になって最初の披露となる。
12:10
浪江町樋渡・牛渡田植踊り保存会
八坂神社の祭礼(7月15日)の宵祭りに踊ってきた民俗芸能で、東日本大震災と原発事故で活動は中断した。令和元年に神社の再建がかない、その落成式で久しぶりに披露した。
今年も7月23日に八坂神社の例大祭で、神楽や盆踊とともに奉納した。早乙女と才蔵に分かれて相馬野馬追にうたわれる「相馬流れ山」で舞い込む。今後もふるさとの復興を支えていき、浪江町の「十日市」にも機会があれば踊ることを望んでいる。やや芸能化の進んだ田植踊である。
13:00
浪江町請戸芸能保存会
江戸時代末期から続く民俗芸能で、延喜式内社の「苕野(くさの)神社」の「安波祭」(毎年2月第3日曜日)に海上安全と豊漁・豊作を祈って奉納されてきた。
震災後、全国からの支援と、浜通りの文化遺産を残してほしいという声が背中を押し、震災5か月後の8月にいわき市での復活公演から活動再開し、震災翌年からは二本松市や福島市内の仮設住宅を訪問し、その活動は6年ほど続いた。県内での活動のほか明治神宮の「明治天皇百年祭」や「出雲大社大遷宮」、伊勢神宮外宮などにも奉納している。
震災から7年目の「安波祭」では久しぶりに“ふるさと請戸”で舞うことがかなった。これまで県内外で62回披露している。県内では最も芸能化が進んで美しく磨き上げられた踊りである。
13:30
浪江町南津島郷土芸術保存会
約200年前より伝わる「田植踊」と「神楽・七芸」で、旧正月に地区の各家々をまわり悪魔祓いと五穀豊穣、それに無病息災を祈願して踊ってきた。
元来、踊り手は男性だけであったが、現在は地区の住民が各地に避難しているために、女性や若者も加えて活動が途絶えないようにしている。
津島地区は水稲栽培や養蚕が盛んな農村地帯であったが、原発事故後は帰還困難区域となった。それでも伝統の灯を消さないように、県内外の催し等で参加の機会があれば活動を続けている。深い信仰に支えられた踊りである。
14:00
飯舘村小宮民俗芸能保存会
「飯館の田植踊」は約200年の伝統を持つ福島県指定の重要無形民俗文化財で、かつては18の地区で継承されていた。なかでも小宮地区のものは華やかさが特徴である。原発事故による全村避難のなかで、震災後の平成26年から活動を再開し、小宮地区の稲荷神社の遷宮や「北海道東北ブロック民俗芸能大会」「ふるさとの祭り」のほか、村の文化祭での披露、さらに「いいたて希望の里学園」での指導など、その灯を絶やさずに継承している。
14:30
柳津町藤の和芸能保存会
会津地方には「春神楽」といって、獅子神楽が田植え前に門付けをする風習があり、その典型が当団体である。神楽は長獅子と神楽七芸があり、七芸には「おかめ」「万歳」「鍾馗舞」のほか、県内ではここだけの「皿まわし」「五階茶碗の立てもの」などの曲芸も伝えている。
二本松藩の御用神楽師であった渡部豊太夫は、廃藩のあと安在と改姓して長沼町などに移住して門付けを始めた。豊太夫から数えて5代目にあたる三左衛門は明治末に只見町梁取の山内家の婿養子になり、多くの弟子も育てた。会津地方には江戸時代から神楽が伝えられていたが、現在では三左衛門の流れを汲むものが多い。当保存会の会主であった後藤熊三は、三左衛門の孫弟子にあたり、芸は確実で見応えがある。
▼ 2022年の開催は、無事終了しました。
時代を超え、震災を乗り越え、人と地域をつないできた福島の民俗芸能。
希望あふれる福島の未来に向けて、県内の民俗芸能団体が浪江の地で熱演します。
是非、お越しください。
11:10 | 川添の神楽 | 浪江町 |
11:40 | 樋渡の三匹獅子舞 | 三春町 |
12:20 | MJCアンサンブル | 南相馬市 |
12:50 | トモダチプロジェクト | 南相馬市 |
13:20 | 会津坂下の早乙女踊り | 会津坂下町 |
13:40 | 相馬福田の十二神楽 | 新地町 |
14:10 | 鹿島下町の子供手踊り | 南相馬市 |
※都合により出演団体及び出演日時が変更になる場合があります。
駐車場は、「道の駅なみえ」及び「浪江町役場」をご利用ください。
〒979-1513 福島県双葉郡浪江町幾世橋知命寺60
TEL.0240-23-7121
本館営業 10:00〜18:00
https://michinoeki-namie.jp